見上げたソラ
悲しみ
消せない過去
生きることがわからない
死に場所を求めて、この人についていった
戦って死ねなかった俺は・・・
大切な人を守って、死ねなかった俺は・・・
あの人を裏切るようにして、この戦に出た
生きろといったあの人の言葉を・・・思いを・・・裏切って・・・
爆発音がする火薬のにおいが充満したこの中・・・
絶望にも似た思いが、脳内を支配する。
「鉄・・・?どうし・・・て・・・・」
「銀ちゃん・・・?」
田村銀之助・・・。
俺と一緒に、土方副長の小姓隊士をしていた対立するも良き友人だった。
ことあるごとに、副長の取り合い自分が副長にとって一番だと対立していた。
だが、五稜郭につくなり、俺は日野に副長の遺品を届けるという命の元に強制送還・・・。
その銀ちゃんが、俺を見るなりにもともと大きかった目をさらに大きく見開き、悲しみにも怒りにも似た引きつった顔をする。
「なんで・・・?どうして、銀ちゃんがここにいるんだよ?それに何だよ!?その格好!!!」
時代遅れと言われた日本刀を持っていた手に力が入る。
鞘が軋みような音がするのが聞こえる。
キシ・・・っと・・・・。
「なんでって・・・そんな・・・そういうお前こそ、なんでこんなところにいるの!?」
頭に血が上った俺の胸倉を銀之助が、飛びつくように掴む。
悲しみにも怒りにも似た顔で・・・。
その顔が痛かった。
正直、本当に痛かった。
俺が、ここに居る理由がばれたようで・・・・痛くて恐かった。
「質問してんのは、俺だろ!?なんで、なんで、黒田なんかにっ!!!」
「ふざけんなぁ!!俺のことは、どうでもいいだよ!」
「どうでもよくないだろ!?お前、副長を裏切るのか・・・?」
俺を掴んだ銀ちゃんの手が一瞬だけ緩んだ・・・。
少しだけほっとして、気が緩んだ。
銀ちゃんは、それを見逃してはくれはしなかった。
「裏切ったのは、お前だろ!副長の思いを裏切って・・・、こんなところに出てきて・・・・、副長が、せっかく助けてくれた命を!お前だけでもと・・・それをお前は!!」
「・・・っつ、銀っ・・・。」
「副長は、お前に生きて欲しかったんだよ!!お前に、自分の分も新撰組をこの時代に残して欲しかったんだよ!」
息一つつかずに、捲くし立てるように言い切る銀ちゃん。
俺は、気が緩んだ瞬間、銀之助の勢いに不意を付かれた・・・。
「俺は、副長と一緒に死にたかった。義に殉じて!!俺一人残されて、どうやって生きていけっていうんだよ!!俺、俺・・・・もう・・・一人になんかなりたくないっ・・・。」
寂しかった・・・。
俺だけのけ者にされたみたいで・・・・。
俺だけ生き残っても何も残らないのに・・・・
みんなと一緒じゃなきゃ、なんの意味も示さない。
副長も銀之助もいない・・・。
寂しくて悔しくて悲しかった・・・。
「生き残ってる人達が、どこにいるかもわかんないし・・・。例え、出会ったとしても、その人が、どうなってるかもわかんない!あんなに、副長のこと敬愛していたはずのお前だって、よりによって黒田なんかの下について!!!寝返りなんかして、裏切ってんのは、銀ちゃんのほうだろ!?副長を新撰組を裏切って、」
「確かに、今は、黒田さんの下にいる。けどっ!俺は、副長の思いだけを背負ってあの人の下についたんだ。生きろって言った副長の思いだけのために、俺は、この道を選んだんだ。」
「でも、結局、こんなところに居たんじゃ、銀ちゃんだって、裏切っ『俺は、生きるために戦ってんだ!』」
胸倉を掴む腕に、苦しいほど力がこめられる。
「死に場所を求めて、戦場に居るお前とは違うんだよ。鉄・・・・。」
圧迫される喉が苦しいのか胸が苦しいのか、もう何が苦しいのかがわからない・・・。
今まで、見たことがないくらいひどく怒っていた銀ちゃんの顔が、そう言ったとたん苦しいのか泣きたいのかどっちとも着かない顔になった。
それが、余計に俺を締め付けた。
「死ぬことが、儀に殉じることなのか?土方さんは、そんなことを俺たち新撰組に託したのか?お前まで、俺たちを置いていくのか・・・?なぁ・・・鉄・・・。」
泣きながら全身の力が抜けるように、この戦場で、膝を銀ちゃん。
けど、俺を繋ぎ止めるかのように服を掴んで離さなかった。
「お前まで、居なくなるなよ・・・生きろよっ、あの人の分まで、生きて、生きて、生きて、よぼよぼじいちゃんになってから、会いに行けばいいだろ?」
俺を掴んだ手が、震えてる。
気丈な銀ちゃんから、想像できないほど必死で・・・・
痛いくらいの声に、手を伸ばした。
けど、その手が銀ちゃんに届く前に、横切った気配に刀を握りしめた。
「ごめんね?・・・銀ちゃっ、ん・・・。」
俺は、銀ちゃんの手を振り切って走った。
視界の隅に入った、こっらに向かった来る同じ色の標にむかって・・・。
もう、体が覚えてしまっている。 本能が、敵と認識したもの斬ることを・・・・。
ドサッと視界に入ったそいつが、倒れて動かなくなった。
それが確認できたら、なんだか力がはいんなくなっちゃった。
「鉄っーーーーーー!!!!」
後ろから、銀ちゃんの呼ぶ声が聞こえる。
泣きながら叫ぶ銀ちゃんの声なんて、初めて聞いたなぁ。
眠たいなぁ〜・・・ははぁ、銀ちゃんの足音だ。
「鉄っ鉄っ鉄!!バカ野郎!何考えてんだ!いやぁだ!死ぬなよっ鉄!」
あーぁー、視界視界いっぱいに銀ちゃんの泣き顔。
俺、ちゃんと銀ちゃん守れたんだぁ。
そうおもったら、自然と頬が緩んできた。
「よ、かっ・・・た・・・。銀っちゃん・・・俺、先に・・・・行ってるよ?」
空がきれいだぁ・・・・。
今まで、一番綺麗だよ?銀ちゃん・・・・。
甘くない!!!
めっさ甘くない!!
ごめんなさい!!!!