真夏日よりの今日。
ほんの少し、外を歩いただけで汗が額を伝う。
夏前だというのに、ここまで暑いとこれからの隊務に嫌気が差してくる隊士たち。
「暑い・・・。」
一人自室で書類の整理をする土方とて、今日のこの日差しは暑かったのだ。
障子を開けても、風が入ってくるもののこの日差しには追い着かず、うっすらと額に汗を浮かばせるのだった。
「おい。・・・おめぇ、暑く・・・・、」
「すぅーすぅー・・・・。」
「寝てやがる・・・。」
自分の後ろで、静かに本を読んでいたに半身だけ振り向いて声を掛けたが、この暑いのに気持ちよさそうに寝息を立てていた。
「ったく、よく寝れるなぁ?この暑いのに・・・。」
本を大事そうに抱えたまま、無防備に右半身を下にして寝るにそっと近寄る。
「こっちは、仕事してるってのに、気持ちよさそうに・・・・。」
そういいながら、額にかかる前髪を指で払ってやるとうっすら汗を掻いてることに気づく。
そのまま視線を降ろせば、白い首に後れ毛が張り付いているところで視線が止まった。
「・・・・・・・・ちぃっ。」
まだ子供だと、芽生え始めた気持ちを隠すように妹のように可愛がっていた子。
時折感じる女の仕草もの気持ちも見ないようにしていた土方。
そして、今も、そこから視線を外す。
「おい、起きろ。。」
「ぅ〜ん・・・・。」
体をゆすって起こそうとするも、小さく呻って起きようとしない。
「襲われてぇのか?おめぇは・・・。」
「ん・・・ト、シ・・・・スゥースゥー・・・。」
寝ている間に体温が上昇し、赤く染まる頬で土方の名前を呼ぶ。
その声によからぬ思いが脳内を駆け巡る。
いけないと思うも、体がを触れたがる。
「・・・。」
名前を呼ぶ土方は、覆いかぶさるように、の頭の両側に手を突いた。
そのまま上気した頬を撫でて、親指で唇に触れる。
「ん・・・トシ?」
慣れ親しんだ体温に、寝ぼけながらも眼を覚ます。
覆いかぶさる土方に顔だけ傾け見上げたまま、ゆっくりと頬を緩ませ微笑んだ。
自分の頬に触れる手を覆い重ねて、手首を支えるように右手を添えた。
眼を覚まされるだけでも、内心ひどく驚かされている上に、の行動にソレを隠しきれるか不安になる。
「煙草・・・トシの匂いだねぇ・・・。」
愛おしそうに土方の腕を抱き、また、は瞼を閉じた。
土方の腕を頬に引き寄せ、安心したかのようなに深い眠りへと落ちていった。
脳内を駆けた感情が、その幸せそうな顔に中和される。
汚し壊してはいけないもののように、その顔に溶かされてゆく。
「たくっ・・・これじゃ、襲うこともできねぇだろうが・・・。早く起きろよ?俺は、まだ仕事が残ってんだ。」
そう言って、余った腕を枕代わりに寝転がる土方。
小さな笑みを浮かべ、寄り添うように土方も瞼を閉じた。
言葉にせずとも、どこかで本当は、も気づいているのではないかとそう思ってしまう。
いつか、この気持ちが許されることならば、言葉にして伝える日が来ることを祈り深く眠りにつくことにした。
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